2009年09月27日(日)
雑誌が「消える」日 [日々の徒然]
先日、久しぶりで雑誌を買った。
売上の減少や相次ぐ廃刊等「雑誌の危機」が当の雑誌などあちこちのマスコミで報じられて久しいが、考えてみれば、自分自身「雑誌」というものを買う機会が極端に減っていることに改めて気づいた。
そう言えば、日々持ち歩いている持ち物の中から、雑誌が消えて久しい。鞄の中身は、携帯電話、iPhpne 3G、メモ帳、文庫本(時々、単行本)、そのほかに財布、SUICA、カード入れ、名刺入れ、仕事がらみのノートや資料等といった陣容で、「雑誌」というのは全く蚊帳の外、意識の外にある。実は、新聞すらここ何年も持ち歩いていない。
現在日々のニュースの情報源のメインは、iPhone 3Gで見るWebニュースだ。その前は、携帯電話のiModeサイトだった。そして、携帯やiPhoneを複数台持ち歩く代わりに、以前は良く持ち歩いていた雑誌や新聞を持ち歩かなくなった。
今回久々に買った雑誌は、「COURRiER Japon 10月号」である。以前からこの雑誌を読んでいたわけではなく、今回初めて購入したものだ。
購入のきっかけは、COURRiER JaponがiPhone向けに無償配布しているiPhoneアプリ版の「COURRiER Japon」だった。
iPhoneアプリ版の「COURRiER Japon」は、表紙と各特集記事の最初の一本程度を収録していて、iPhoneで読める読み物として質も高く、操作性もよくできている。
これまでにもiPhoneアプリ版の「COURRiER Japon」を読んでいて、「もっと読みたい」と思うことが何度かあったのだが、そもそも「雑誌を買う」という行為から遠ざかっていたため、雑誌版を目にする機会は一度もなかった。
それが、つい先日、別件で池袋のジュンク堂へ立ち寄った際に、初めて「COURRiER Japon」を購入したのだ。
電子版と雑誌版の「COURRiER Japon 10月号」を比較してみると、重複する記事はもちろん同じ内容なのだが、写真の美しさや、紙面のレイアウトの妙など、雑誌版の方が明らかに表現が充実していて、今は、久々に購入した雑誌を楽しんでいる。ちゃんとした内容のしっかりした雑誌であれば、明らかに雑誌には雑誌の良さがある。その事を再確認した。
多分、自分は、次号も雑誌版を買うのではないかと思う。
「COURRiER Japon」が電子判を無償で配布しているのは、雑誌版の内容、紙面に自信があるからに違いない。その戦略は正しく、おかげで彼らは、雑誌版の読者を、新たに少なくとも一人は獲得することに成功した。
ところで、雑誌の行く末については、インターネットの普及に伴い、悲観的な見通しが一般的だ。ちなみに、今手元にある「COURRiER Japon 10月号」の特集の一つは、何とも皮肉なことに「雑誌が『消える』日」である。
「雑誌が『消える』日」は、おそらく本当にやってくる。
ただ、それは「全ての雑誌が消える日」ではない。
その日がきても、内容、紙面が充実し読者を引きつける魅力を持つ雑誌は、新たな読者を獲得し続け発行部数を伸ばすに違いない。
その昔、いろいろな雑誌が「インターネットは、情報流通の革命である」というような特集を組み、それについての論評を、それこそ星の数ほど掲載してきた。インターネットによる革命は、新しい何かを当たり前にして、昨日までの当たり前を葬り去っていく。
その革命は、旧来のマスメディア自体のあり方を問い、その一つである雑誌媒体を淘汰しようとしてる。
淘汰されるのは、コンテンツに魅力がない雑誌と、コンテンツに力はあるが新しい時代のメディアのあり方を理解できず、うまく読者向けに表現できない雑誌、すなわちアイデンティティを確立できない雑誌だ。
言っちゃあ悪いが、スポーツ新聞や芸能雑誌、株式投資情報のような情報を伝達するだけのものは、いずれ遅かれ早かれ駆逐されそうな気がする。
その一方で、毎号しっかりした編集方針に基づいて制作されている、例えて言えば「よくできたドキュメンタリー番組」のような雑誌については、そう簡単にオンラインメディアに馳駆されるとは考えずらい。
電子版と雑誌版、Webと誌面、それらをどう作り、いかにして本来のビジネスである雑誌売り上げに結びつけていくかは、今後の雑誌出版社に突きつけられる重要な戦略的課題だ。
印刷媒体として生き残りたい雑誌、Webに移行して生き残りを模索する雑誌、両方を手掛け相乗効果を狙う雑誌・・・様様な取り組みが始まっている。
業界的には厳しい時代を迎えていると思うが、偽物が減り本物が生き残るなら、読者としては歓迎である。
iPhoneアプリの雑誌を見て久々に雑誌を買ったら、たまたまその特集の一つが「雑誌が『消える』日」だったことから、雑誌について思うところを書いてみた。
ちなみに、その昔自分がライターとして関わっていた雑誌は、幾つかが廃刊になり、幾つかはWebに移行して今でも生きている。しかし雑誌のまま残っているものは、おそらく1誌もない。厳しい現実である。
さて、ここまで読んでしまった方、戯れ言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
コメントなどあれば、お気軽にどうぞ。
written by pomera@cafe de RePos
Posted by Julian at 18時11分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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